成年後見制度と法定後見
4つの仕組みの成年後見制度
(1) 成年後見制度
成年後見制度とは、「判断能力が不十分なために自分のことが自分でできない人を支援し、必要な手配をする制度」であり、その「支援する人」(後見人)を本人自身が選ぶのが「任意後見制度」、家庭裁判所が選ぶのが「法定後見制度」です。
成年後見制度には、このように、①「法定後見制度」と ②「任意後見制度」があり、さらに法定後見制度には、本人の判断能力の程度によって後見制度、保佐制度、補助制度の3類型があります。
(2) 法定後見
法定後見制度は、認知症などが発症して進行し判断能力が不十分になった者に対し、申立てにより、家庭裁判所が、本人を保護する者(後見人)を選任する制度です。
この制度は、本人の判断能力に応じて、判断能力が不十分な人は『補助制度』、判断能力が著しく不十分な人は『保佐制度』、判断能力が全くない人は『後見制度(後見類型)』という3つの類型があり、これを利用する人は、その判断能力に合致した一つを選択するというものです。これらの制度のどれでも自由に選べるものではありません。
(3) 法定後見制度は、いずれも精神上の障害により事理を弁識する能力(判断能力)が不十分な者を対象者にはしているものの、3類型は全く独立した別個の制度です。この3制度の内容は、ことごとく異なっており、当事者や事務の名称だけでなく、成年後見人等のそれぞれの職務権限も大きく異なっています。
詳細は、拙著「新しい地域後見人制度」第3章等を参照してください。